羽野こはる@webライターブログ

webライターとして発達、療育、教育、保育、子育て、節約術などの記事を執筆中。ほとんど年子3人(男男女)都内在住のワーママ。保育士、社会福祉士、自発管など資格所有。子ども発達関係の職歴10年以上。 経済メディア「マネーの達人」/教育メディア /お仕事依頼も募集中です!

歩き始めの遅い子どもと一緒に楽しむ親子遊びとは?

我が子の歩き始めといえば、お父さんお母さんにとっても一大イベント。しかし、1歳を過ぎてもなかなか一人歩きをしないと心配になりますよね。ゆっくり見守りつつも、歩きにつながる工夫ができないかなと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。


発達の仕組みや気を付けるポイント、親子で一緒に楽しめる遊びを紹介していきます。


子どもが歩くためにはどんな発達をしているの?


まず最初に子どもが産まれてから歩くまでの発達と時期について紹介します。


お母さんのお腹の中では、手足を曲げて全身を丸くした姿勢で過ごしている赤ちゃん。産まれてすぐは筋力を感じられず、全身の柔らかさに驚いた人もいるのではないでしょうか。そんな赤ちゃんが歩くまでにはたくさんの力が必要です。


3~4ヶ月頃【首座り】

産まれたときは筋力が弱く視力も低い赤ちゃんですが、生後3ヶ月頃には、首を動かして見たいものを追えるようになります。これが首座りです。


4~6ヶ月頃【寝返り】

徐々に手が使えるようになり、身体の真ん中で手を合わせたり、左右の触りたいものに手を伸ばしたりします。遠くのものにも触ろうとし、腰をひねって寝返りを始めます。


7~9ヶ月頃【一人座り】

寝返りからうつ伏せ姿勢になり、手足をばたつかせたり、膝をまげて身体を引き寄せたりできるようになる時期です。色々な動きをしているうちに、身体を起こして一人座りができるようになります。初めは筋力が弱く前に倒れますが、徐々に体幹が鍛えられて手を放しても身体を保てるようになります。


7~10ヶ月頃【ずり這い、ハイハイ】

筋力の発達と、遠くのものを触りたい意欲の発達から、ずり這い(うつ伏せ姿勢から手足を動かす)や、ロッキング(身体を持ち上げて前後に動かす)をします。

交互に出した手足で身体を支えたり、一人座り姿勢から手を前に出したりして、ハイハイができるようになります。

 

8~11ヶ月頃【つかまり立ち、伝い歩き】

片足立ちから壁やテーブルに手をついて立ち上がります。一瞬手足を床から放しても転ばなくなると伝い歩きを始めます。徐々に手に体重をかけなくても体幹とバランスを使って伝い歩きができるようになります。

 

1歳~1歳3ヶ月頃【一人歩き】

ハイハイから手足を伸ばす高這いになり、高這いからしゃがみ姿勢、立ち上がりになります。立ち上がってからバランスをとって1歩足が出ます。つかまり歩きから手を放して近くのものへ1、2歩歩き始めることもあります。初めは両手を上にあげ、歩幅を大きくしてバランスをとって歩きます。


歩くために必要な力とは?


産まれてから歩くまでの発達でわかるように、首、手、足を動かせるようになることで運動の発達は進みます。寝返りを繰り返すことで腰のひねりの力が付き、一人座りで体幹を鍛えて倒れない身体を作ります。ずり這いやハイハイでは手足の関節を曲げ伸ばしし、手で全身を支えることで腕や手指の力を養います。全身の筋力がバランスよく育つことで初めて歩きにつながるのです。


また、人やものに興味を持ち、全身を使って触りにいきたいと思う意欲やわかる力、環境に合わせて身体を動かすために見て動く力も必要です。


他にも、足の裏を地面に接触させられること、膝や体のバネを使って左右のバランスをとる力など、歩くことにはたくさんの力が必要になります。


まれに、ハイハイをせず、一人座りからいざり移動をする赤ちゃん(シャフリングベイビー)がいます。0.8%程度と言われ、歩行器の弊害や転びやすさの原因と疑われたこともありました。ハイハイは体幹、膝、腕、手指の発達にとても大切ですが、いざり移動から歩いてもいずれ正常に歩けるようになると言われているため、必ずしもいけないという訳ではありません。同時にうつ伏せ姿勢を嫌うこともあるので、遊びの中でハイハイやうつ伏せを楽しめるようになると良いですね。


歩き始めの遅さを心配するポイント


育児書やインターネットには、「個人差があるため気にしすぎないように」と書いてありますが、焦ったり病気を疑ったりもしますよね。次は一般的に専門家から言われている、気を付けて見るポイントを紹介します。


発達基準の表記について


母子手帳や育児書に書いてある発達の基準は、2~3ヶ月の幅があります。それは約半数の子どもができるようになる月齢から、約9割の子どもができるようになる月齢までの目安を表したものです。つまり、その基準より遅い子どもが約10%いるということです。発達基準よりも少し遅くなってしまったからといって、すぐに不安になることはありません。


1歳半健診は必ず受ける


身体の発達を確認する機会として、1歳半健診があります。ほとんどの自治体で無料受診できるため、必ず受けるようにしましょう。運動面は、足が前に出て何歩か歩いているかどうかを観察します。歩き始めが遅いことについて相談もできます。必要があれば医療機関や専門機関を紹介してくれるため、1歳半時点で歩き始める様子がなければ受診を勧められることが多いです。ただ、ゆっくり発達しているだけでのちのち歩き出すということもあります。


歩き以外の様子を観察する


歩き方以外の様子も子供の発達を見極めるポイントです。


・動きの左右差が大きい

・後ろに反り返る(一人座りをさせると前でなく後ろに倒れる)

・身体や手足がつっぱる

・身体の一部が動かない

・筋力が極端に弱い

・時々ぼおっとしたり、急に焦点が合わなくなったりする

・極端な過敏や、鈍感さがある

・人、おもちゃへの興味が極端に低い


このような気になる点がある場合は、医療機関に相談してみると良いです。病気や持って生まれた性質が原因で、身体の発達を阻害しているかもしれません。


歩くための身体作りから考えた、楽しい親子遊び


子どもは楽しいときに一番力が身に付くと言われています。無理に立たせたり歩かせたりするよりも、今得意な動きから歩きにつながるように促したり、楽しみながら新しい動きに挑戦をさせたりした方が良いでしょう。ここでは運動の発達を促す遊びを紹介します。


ハイハイの得意な子


【のぼっておりて】

布団の下に丸めたタオルや布団を敷いて坂道やでこぼこ道を作ります。安定した平面だけでなく、斜面や障害物を乗り越えながらハイハイをさせましょう。ボディイメージが育ち、体幹が鍛えられ、手足の力の使い方を覚えます。また、いつもよりも長い時間床から手を放したり、片足を放したりするため、立ち上がり歩き出すために必要な片足へ力かかる経験ができます。


かまり立ちの得意な子


【スクワット】

歩くためには身体をピンと伸ばす動きだけでなく、膝や腰を曲げ伸ばしするしなやかな動きが必要です。つかまり立ちをしているときに、おもちゃを使って姿勢を低くさせたり、床に置いてあるおもちゃを取るように誘い掛けたりしてみましょう。このような動作でスクワットのような姿勢を引き出します。しゃがみと立ちを繰り返すことで、ゆっくり膝を曲げられるようになり、力の加減を知ることができます。


伝い歩きの得意な子


【箱押し歩き】

伝い歩きからなかなか歩き出さないときは、箱やカタカタを押しながら歩く遊びをすると良いでしょう。伝い歩きでは足を横に動かしますが、箱押し歩きでは足を前に運ぶため、一人歩きに近い形になります。また、今まではテーブルや壁の範囲内しか行けなかったのが、自由に歩けるようになるため、一人歩きへの意欲も育っていきます。軽すぎる箱だと転倒の原因になるため、必ず大人が付き添いましょう。 


【テーブル遊び】

手の高さに合ったローテーブルがあれば、その角を伝い歩きで曲がるように誘い掛けます。角を曲がるときは長時間手を放して足のみでバランスを取ったり、足をどうやって運べば角を曲がれるか意識を向けたりすることができます。

また、テーブルから目の前の壁や大人に移動するように誘い掛けをすることで、勇気を出して一瞬手を放したり、一歩だけ足が出せたりするきっかけになります。大切なのは怖い思いをさせないこと、できたら褒めてあげることです。


お座りやいざり移動が得意な子


お座り姿勢でいることが長くなるため、色々な変化のある動きをしたり、足の裏で身体を支えたりする経験が不足します。遊びの中でそれを補うことで、一人歩きにつなげていきましょう。


【ゴロゴロ遊び】

ハイハイ経験が少ない子の中には、寝返りからのうつ伏せ姿勢が苦手な子が多いため、ゴロゴロ転がった遊びで寝返りからうつ伏せ姿勢をとる経験をします。そこから何度も自分で起き上がり、変化のある動きを経験します。


【トンネル遊び】

身体を低くする姿勢でしか通れない机の下やトンネルで遊びます。初めは長いトンネルだとお座りから動けなくなったり、いざり移動で通ってしまったりするため、短い距離から始めます。


【またがり遊び】

大人の膝の上にまたがって座り、両足の足の裏を床に付けます。大人が高さを調整し、子どもが足の裏に体重を乗せられるようにしましょう。そのままローテーブルで遊んだり、絵本を読んであげたりすると、足の裏の感触を嫌がらずに遊べます。


まとめ

子どもの成長は個人差が大きく、正解不正解がありません。特に歩き始めに遅さを感じるときは、「自分の育児のやり方があっているのかな?」と不安になると思います。だからといって、苦手なことを無理にやらせてもなかなか身につかないもの。なぜかというと、子どもは楽しいと感じたときに一番力が身につくからです。 


しかし、お父さんお母さんだけでやり方を考えて、遊びに誘うのはなかなか難しいですよね。そんなときは、発達の仕組みやたくさんの遊びを知るプロの手を借りてみるのはいかがでしょうか?お父さんお母さんも、楽しい気持ちで豊かな成長を見守っていけると思います。

 

参考

・林 万リ「やさしく学ぶからだの発達」全障研出版部

・Lois Bly「写真で見る乳児の運動発達」協同医書出版社